所在地 : 愛知県名古屋市中村区名駅四丁目7−1 |
ミッドランドタワーはオフィスと商業・アミューズメントが複合する名古屋で最高の高さを持つ超高層建築である。従来の駅前ビル街は戦災復興期にあたる昭和30〜40年代にかけて、地下鉄・地下街と一体的なアーバンコンプレックスとして形成された。その一角にあったミッドランドタワーの前身、旧豊田毎日ビルを含めて、全国でも数少ない軒高31mの整然とした駅前景観を構成していた。このビル街にも老朽化や都市機能の変化による建替え期が到来し、JRセントラルタワーズに続き、先導的に建替えられたのがこのミッドランドタワーである。周辺は今なお建替えが進み、昭和から平成の景観に変貌を遂げようとしている。コストパフォーマンスが追求される超高層オフィスビルにあって、シンプルなボリューム構成にもかかわらず、質素だが高い格調を持つランドマークの姿に建築主の意図、設計者の知恵、施工者の手腕が読み取れる。その背景に日本を代表する世界企業トヨタが入居していることは言うまでもない。限られた敷地の中で所用機能の確保と同時に不足する駅前公共空間を補うように都市再生特区と優良再開発の認定を受け、地下と地上1階に歩行者自由通路や広場、吹き抜けを取り込み、敷地内にタクシー乗り場や駐輪場を設けた配置計画に苦心の跡が見られる。建築計画は3.2モデュール、画期的な階高4.4mと天井高2.9mを採用し、五重塔を模したような中央コア方式の構造システムで構成される超高層オフィス棟は、設備システム、仕上げともにシンプルながら快適なオフィス空間を創った。地下〜地上4階5層吹き抜けの商業棟は、個々に表情の異なる世界の有名ブランドショップを回廊式の配置で一つの空間シーンに取り込み、格調の高い落ち着いた商業空間を構成し、名古屋駅前の商業集積に新たな付加価値を投入した。細部にわたり密度の高い設計と施工で、全国的にも優れた超高層建築物と評価される。 |
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( 尾関 利勝 ) | |||||||||||||||||||||
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