第38回中部建築賞には、一般部門67作品、住宅部門26作品の応募がありました。
第1回審査委員会は9月14日に行われ、現地審査の対象としてその中から一般部門21作品、住宅部門3作品が選出され、引き続き審査委員による現地審査が行われました。第2回審査委員会は10月20日に開催され、現地審査を行った各委員からの報告をもとに慎重な審査を行い、一般部門では入賞作品4点、入選作品9点、特別賞2点が、住宅部門では入選作品2点が選定されました。
今年の応募作品の傾向としては、社会情勢、経済状況を反映して幼稚園から大学まで、教育施設が非常に多かったことと、一方では美術館、図書館、ホールといったいわゆる公共「ハコモノ」建築が皆無であったことが挙げられます。しかも公共、民間を問わず、紋切り型の制度化されたプログラムを踏襲するのではなく、住民参加や地域性への配慮などに真摯に取り組んだ作品が多く見られました。また、時代要請としての環境負荷低減や省エネルギーへの対応も、今や当然のこととして受け止められているという印象を受けました。入選、入賞作品はそれらのレベルを当然クリアしたうえで、更に建築主、設計者、施工者が、それぞれの分野において現代の時代精神を理解し、次の時代を予感させるような新しい提案をした建築として選出されたといえましょう。
住宅部門についていえば、今年度は例年にくらべ応募作品が少なく、途中で辞退された作品などもあり、かなり限定された審査となりました。それに比例するように、入賞作品に該当する作品を選出できない結果となりました。次回に期待したいと思います。
(高宮 眞介)
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