所在地 : 長野県下伊那郡泰阜村6218−22
 長野県の南端、飯田から天竜川を下って17キロの山深い泰阜村に建つ子供の交流施設で、伝説に登場する巨人お化けに因んで「だいだらぼっち」と呼ばれている。小学校高学年から中学生を対象にした都市部の子供の山村留学のための施設で、年間、月単位の留学、週単位の合宿など併せて30人程度を受け入れる。子供たちはこの施設で生活し地元の学校に通う。施設は泰阜村が事業主となり、NPO法人グリーンウッド自然体験教育センターが運営し、「暮らしの中に学びの原点がある」という考えのもとに、自然の中での環境教育が展開されている。
 施設は分散型で暮らしの学校(母屋、食堂と長期宿泊)棟、コテージ(短期宿泊)棟、研修棟、五右衛門風呂棟、便所棟がある。すべて木造の平屋と2階建て、暖房はストーブと、それによる温風床暖房である。研修棟を囲んで母屋棟とコテージ棟が相対し、子供のスケールに合った中庭をつくっている。周辺には、陶器や染物の工房、登り窯や炭焼き窯などが点在する。
 この施設の設計には子供たちのアイディアが採用され、施工でも子供たちがタイル張りを手伝ったという。どこを見てもルーズで不完全である。それでいて温かく心地よい建築になっている。建築家は完全主義者であると言われるが、「これで良し」とした設計者の忍耐力に敬服する。かって、この運営者は廃校を借りて子供キャンプを実施、それが認められてこの企画が始まったという。意気投合したこの設計者はその廃校の時代に、子供たちがどんな家を欲しているかを問うワークショップを開いたという経験もある。また、この設計者は飯田地域で、地元木材を利用した体験施設、民家の再生など多くの実績があり、この忍耐力はそのような活動の中で培われたに違いない。
 ソフトからスタートして運営者、利用者とともにハードへと理想の経緯を辿ったこの施設が、今後、更なる成果をあげられることを期待したい。
( 藤 木 忠 善 )
主要用途 通年合宿施設
構  造 木造
階  数 地上 1階 一部 2階
敷地面積
3,638.52u
建築面積
649.91u
延床面積
767.70u
建築主 泰阜村
設計者 環境プランニング
施工者 株式会社 ヤマウラ 飯田支店

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