所在地 : 愛知県常滑市セントレア 一丁目1
 「わかりやすさ」、「あんしん」、「やさしさ」を実現するという標語が、当空港の計画当初から掲げられており、それらのかなりが建築的に達成されていると実感できる施設である。既存の空港の多くがこの反対語の環境であることから、おそらく現時点でもっとも顧客満足度の高い国際空港ということができるのではないだろうか。それは開港後の営業成績や訪問者数(2月開港後11月に年間予想の1500万人を突破)の成績にも表れている。鉄道やバス、駐車場からエレベーター、エスカレーター、スロープを用いて全く段差なしに出発や到着ロビーにアクセスすることができ、チェックイン後搭乗までの空間もユニバーサルデザインが貫かれている。計画段階から障害当事者参加のプログラムがとられた成果が反映していると見られる。建設時にも多くのメーカーが参加して商品化がなされ、また開港後も改良が加えられていると 聞いており、この建設を契機に大いなる社会的資産が地域にもたらされたことになる。
ターミナルビルは逆T字型となっており、両翼に国際線と国内線を配し、相互の乗り継ぎの円滑化が図られている。また中央翼には国際国内の切り替え可能な工夫がなされ、ピーク時の利用に対応している。
 計画当初は鳥が翼を広げて伊勢湾に飛び立つような、有機的なデザインが構想されていたとのことであるが、主に建設費抑制のため、翼中央寄りから端部まで同じモジュールで連続するデザインに変更された。利用の増加に伴い、国際線側を延伸する計画が現実味を帯びてきた時点で左右対称は崩れるため、この変更はプラス側に働くと思われる。
 従来の公共的な大規模投資の多くが負債を地域に与えてきたのに対し、産官民あげてとりくまれた当空港は、これからも絶えざる改善と進化によって地域振興と国際交流に貢献され続けることが期待される。 
( 谷 口 元 )
主要用途 空港施設
構  造
鉄骨造
階  数 地上 4階
敷地面積
4,733,339.00u
建築面積
84,492.05u
延床面積
219,224.77u
建築主 中部国際空港株式会社
設計者 日建・梓・HOK・アラップ・中部国際空港旅客ターミナルビル設計監理共同企業体
施工者 (中部国際空港旅客ターミナルビル(その1))
大成・鹿島・大林・東急・戸田・ベクテル・佐藤・矢作 共同企業体
(中部国際空港旅客ターミナルビル(その2))
竹中・清水・鴻池・飛島・フジタ・ロッテ・名工・徳倉共同企業体

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