所在地 : 岐阜県各務原市川島笠田町1453 |
この施設は、我が国ではまだ少ない淡水魚専門の水族館である。立地場所は最近注目を集めているハイウエー・オアシスのなかに位置し、東海北陸道川島パーキングエリア内の河川公園の一角に、まさに自然と集客力に恵まれた環境にある。 建物全体は円環を4分割して扇型とし、それらを卍型にずらした配置構成をとっている。そして2つの1/4の扇型部分を水族館部門に、残りの扇型部分をエントランスとレストランがそれぞれ確保されている。特に卍型部分を主要な動線経路の空間とし、2つのテラス(中庭)に面するように造られ、光溢れる開放的な経路空間を成していて、巧みに扱いである。 この水族館の展示は、「長良川の流域の魚や昆虫、鳥類、植物なども含む生態展示」と「世界の淡水魚の展示」が主体をなし、上階(4階)から下階に巡る展示システムである。ことに各階の展示を巡る経路は、健常者と身障者が同じ経路を辿ることができるようになっていて、このような展示施設は極めて少なく、先駆的な試みである。ただ、各階への縦移動はスロープであるため、通常の水族館とは異なり経路が長くなりがちである。しかし、先の光溢れる開放的な経路空間と連結されているため、このスロープ部分を抜けることによって、より開放感を与えている利点もある。 外観構成のなかで、水族館部分のすり鉢のガラス屋根は、内部からは天空を切り取った開放性を形成し、外部からは躍動感のあるダイナミックでインパクトのある建築造形で、子供から大人まで受け入れやすい象徴的な建築を醸し出していて好感のもてる建築である。 |
|||||||||||||||||||||
( 中 森 勉 ) | |||||||||||||||||||||
|
|