本年6月「景観法」が制定,交布された。この法律は歴史や文化・風土などの地域の個性を重視しながら都市の街並みや農村風景の保全と再生を目的にしている。保全するために個々の建物や街並みを具体的に規制するものでそこから生まれた「景観」は住民にとって心のこもった厚みのある好ましいものになるかどうか疑問である。良い街並みの景観とは四季折々の変化に応じて刻々と生まれ変わる光に照らされたたたずまいであって、自然と人間の知恵が織り成すものであろう。その四季折々の楽しみを演出した街並みの景観を作り出したのが「星が丘テラス」である。今どこの都市も中心商店街の再生には苦労しているがその再生の参考になるヒントがここにある。この星が丘テラスは道路の両側の丘陵地に計画された集合店舗施設でない所から生まれた全く新しい街作りであり、街並みの形成を試みている。
道路の東西両側に間口160mの施設を2棟同じに計画し,西側の直線的な構成に対し,東側は大きな円弧で構成、多様な床レベルを設定しながら施設の回遊性動線を確保し、ヒューマンスケールの滞留スペースを持つもので,道と広場という外部空間を通して地域に優しい季節を感じる新しい街並みを作っている。
特別賞は人に優しい新しい街並みと賑わいを創出した努力を評価したものである。
(田中 楯夫)
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