所在地 愛知県知多郡武豊町字大門田11 |
この施設は武豊町役場の南部に広がる田園地帯の一隅に位置する。基本構想では、敷地全体を「武豊創造の丘」と捉え、既存の雑木林と連続する樹林を形成する「創造の森」とそれに接する芝生広場の「交流広場」の屋外施設、「文化創造館」として位置づけられた建築施設の三部構成で形成されている。 このなかで建築施設の主要な機能構成は、複合型ホール施設と地域住民の生涯学習施設からなる文化会館的の機能を担う施設である。緩やかな丘陵地にある敷地は高低差が4mほどあり、建物の一部はこの高低差のある部分を覆い被さるように建てられている。この覆い被さった空間には、2層分の吹き抜け空間となるエントランスロビーと大階段が置かれ、低地部分から連なる円形(真円の客席)の多目的ホール、大階段を上がった低層の生涯学習ゾーンを配し、建物全体のボリュームを効果的に抑えている。 生涯学習ゾーンは八角形プランの音楽ホール、一定間隔で並ぶ複数の工房室や和室などで構成し、これらの単位空間をかなりゆったりした媒体空間(ラウンジやロビーなど)で連続的に繋がれている。そのうえ、屋外空間としてのライトコートを単位空間と単位空間との間に挿入し、内外部の空間を曖昧することで、有機的な空間の連続性を形成され、心地よい空間となっている。 建物の外観構成のなかで印象的なところは、アプローチ側から見た構成である。池に浮かぶように建てられている多目的ホールの円筒形の造形と、それを背景とする全面ガラス張りのエントランスロビーの壁面である。それは太陽の日差しのあたり具合によって、刻々とのその表情がかわり、ことに西日が当たる時間帯は、池の水の反射光を相まって、幻想的な造形が観られる。 (中森勉)
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