所在地 愛知県名古屋市千種区桜が丘23 |
愛知淑徳学園のキャンパスは名古屋市きっての文教地区にある。その教育施設が地理的歴史的に復そうしている緑豊かな丘陵地のキャンパスに、新たに医療福祉学部が誕生した。 この緑の丘にある学校ではあるが、この一号館と呼ばれる施設は出来るだけ街並みの近くに配置することで社会に対して大学としての視認性を高める事に目標に掲げ、その結果高低差20mというとてつもない傾斜地に立地させている。下から上への人の動線と、既存校舎とのつながりが、いかにスムーズに機能的に処理できるかがポイントだったと思われる。各棟を連絡通路で接続し、エスカレーターによりその連絡通路のあるレベルへ人々を誘導し、さらに上階へと導かれる経路空間の構成と視覚化された演出は巧みである。西面に縦型ルーバー、東面にアルミパンチングパネルを設け直射光を遮ることで光と風の快適性を建築全体でデザインしている。 この星が丘のランドマークを作り上げたこの設計チームに注目すべきものがある。学校建築は教室や研究室の主機能を果たせば良いと考えて作れば良いのではなく、先生や学友との交流の場である建築やキャンパスに身体経験の記憶を刻み付ける空間のあり方を考え、設計者の視線と感性がこの環境作りにとって大切な事だろう。この作品にはその思いを見ることが出来る。 (田中 楯夫)
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