コンクリート壁の上に4ヶ所のピンで支持された2層の住宅は、今まさに大空にむかって飛びたとうとする隼を連想させる。銀色一色でまとめられた色彩が、多用されたガラスとともに中庭の緑に映えて美しい。
内部に歩を進めると、外部から形も色もそのまま受け継いだ内部空間が、ガラスを介して今また外に向かって広がっていくかの様である。唯一、建主のデザインによる壁面に埋込まれた見事な黒檀家具や、弧を描く様に建主がデザインされた赤いソファが室内であることを教えてくれる。2ヶ所に設けられた中庭が実にいきいきとしていて、そこに動く風が常に四季を感じさせているように見受けられた。
最後に、構造部材全てが75ミリという規格の中でのディテールに挑戦された設計者と、それを受けて難しい施工を克服された施工者に対し敬意を表したい。 |