COCONOアートプレイス

所在地 :福井県大野市元町12−2
 越前大野市に残る明治30年頃の町家を「小コレクター運動」用の美術館としてリノベーションした施設である。改修されたのは、表間口9間、奥行7間、切妻造、桟瓦葺きの町家で、市域では珍しい塗籠の大型町家である。この主屋内と左手後方に張り出す下屋、そして敷地奥にある土蔵内の3か所に構造補強用の壁柱を用いたギャラリーを分散して設置。個々のギャラリーの大きさは個人所有の作品展示用として相応しい。この他、中庭も屋外の展示空間として整備されている。
 改修の大きな特徴は、主屋、下屋、土蔵のいずれも2階の部屋や床を取り払い、本来目に触れることがなかった伝統的な梁組や小屋組、屋根裏を露見させて新たに室内意匠に採り込んでいることである。
   主屋内ではもとの2間続きの座敷(12畳半と10畳)部はそのまま喫茶や休憩所として活かし、残りは床を撤去。特に吹抜けとなった表側の地域作家の作品展示・販売コーナーの上方は、元の2階床梁や当地の町家の特徴である木太い登梁、この登梁に支えられた高く、大きな屋根裏も見え、伝統的町家が隠しもっていた見ごたえのある空間を直に感知できる。同じような空間は土蔵内のギャラリーでも味わうことができる。
 完成以後、「小コレクター」美術館として利用者は多く、企画も目白押しで、地域の芸術啓発に大きく寄与しているという。また上述のように町家の伝統的構法を再認識させ、かつ新たな空間意匠として採り込んでいることは高く評価できる。ただし、私見を言わせてもらえば、展示・販売スペースの吹抜け空間の旧2階の床梁上に補加された木の束柱が目障りである。これがたつために町家特有の登梁構法の豪快さが薄れてしまった。また、表側下屋先に立ち並ぶ庇柱も当地の町家にはなく、15年ほど前の調査時に印象的だった煉瓦積みの基礎もRC基礎の中に隠されてしまった。この町家固有の特徴や良さに対してもう一歩踏み込んだ細やかな配慮が欲しかった。
(吉田 純一)
主要用途 美術館
構  造
木造伝統工法
階  数 地上2階
敷地面積
776.39u
建築面積
422.96u
延床面積
478.40u
建築主  大野市
設計者  中西ひろむ建築設計事務所
施工者  大野建設工業株式会社

一つ前へ戻る