さくまオフィす所在地 :岐阜県岐阜市佐久間町20 |
地方中核都市の都心部に建つ、中規模(所員数30名)設計事務所の自社ビルで、設計事務所ならではのワークスタイルを維持しつつ「社内情報が自然に共有できるオープンなコミュニティーとしてのオフィス空間を目指した」全層(地下1階地上3階建て)スキップフロアーの建物です。 「スキップフロアー」は極めて魅力的な空間構成ですが、全層スキップフロアーを採用するとなると、各スラブを支える段違いの梁の処理や空調の区画の不完全さなど、実現を困難にする様々な不整合が頭をよぎり、私など「三十六計逃げるに如かず」と諦めて部分的な採用でその魅力を代用し満足してしまいます。 ところが、応募資料には、いかに「計るに如かず」かと、様々な工夫・仕掛けが語られていました。何よりも記載された写真が語る内部空間は、スキップフロアーならではの魅力的な空間の広がり、働く所員達の同一フロアを超えたアクティブな様子など、「クロストーク空間」と呼ぶにふさわしい印象を受けました。 計られた主たる工夫や仕掛けは私のリテラシー能力を超えるもので、「百聞は一見に如かず」と現地審査に向かいました。構造的には外周に配されたコンパス型(A型)をした形状の6本のフレームと、中央内部階段の支柱を兼ねたラダー(はしご)フレームにより、スキップフロアーが構成され成立していることが納得できました。(ただ、施工時の仮設計画は大変だったと推測。)全層スキップフロアーにより空気の対流的循環が生まれ、快適な空気の流れで合理的な空調計画も実感できました。 一番の計り事であるファニテクチャ―(家具の建築化)としての壁面の利・活用、準耐火の採用や採光確保の巧みさなど、全ての計り事が見事に建築的に消化され、各階の10m四方のスペースが5割増しの効果を生み出し、「スキップフロアー」の力が存分に発揮されています。 |
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(車戸 愼夫) | ||||||||||||||||||||
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