所在地 :福井県三方郡美浜町郷市29−3 |
周囲に住宅の点在する畑地に沿った道路に面して、町庁舎に隣接して配置されている。畑地の一角にはそばの花がきれいに咲いている。街はずれにあるという印象である。建物の外壁には斜めの線が施されて台形が交互に連続する外観をなしているようだ。ひときわ大きな塊であるホールの切欠きにも斜めの線が強調されているので、天候にもよるのだろうが、外壁の斜めの線が強調されると造形の躍動感が際立つだろう。 町庁舎側の入り口から入ると、左手に図書館、管理部門、スタジオ、右手に公民館、喫茶、正面玄関が配置された学びのストリートと称される屋内空間が奥のホールへと通っている。ストリートは上空に鱗雲の広がる岩礁のある海に魚が連なって泳ぐ磯の中を歩いているような、地域の自然を象徴する構成となっている。 図書館には閲覧するための机が主として窓側に配置されている。椅子などの什器には詳細に検討された痕跡が見受けられ、落ち着いた統一感のある空間を作っている。他方、公民館は料理教室や工作教室あるいは集会にも使えるよう可動間仕切り壁による多目的な空間となっている。使い込まれている雰囲気が漂い、町民に親しまれているのであろう。管理部門の受付のわきにはガラス張りのスタジオがあり練習の様子をストリートから見ることができる。ストリートの壁面には可動式のパネルが配置されている。ホールの前にある空間にも可動間仕切り壁が設置してある。展示をはじめいろいろな催しに通年使えるようになっているのであろう。興味ある学習に出会えるストリートという感じである。 ホールに入ると、壁面や天井を構成している音響反射板が魚の鱗のようにも群のようにも感じられる動きのある造形となっている。ホールの存在感は大きく、おそらく町民に誇りを醸成するだろう。ホールやストリートが、自治体と町民が一体となってこの施設を維持していく原動力になると思われる。 |
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(秦 正徳) | ||||||||||||||||||||
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