所在地 :静岡県浜松市北区三方原町968−1 |
ファサードは 軽快、シンプルで、親しみやすく、美しい。 金融機関にありがちな、かたさ・しかつめらしさ、が無いデザインで好感が持てる。天竜ヒノキの集成材を使った縦格子兼用の窓枠が軽快・リズミカルで、ルーフを飾る三段の伸びやかな水平庇と相まってシンボリックなやさしさに満ちている。 三段の屋根庇の下には前面から順に、市民ギャラリー、お客様ロビー、営業業務室が設えられていて、それぞれの屋根段差に組み込まれたハイサイドライトからは自然光が均等に降り注ぐ仕組みが構造に偽りがなく見事である。 環境負荷低減については木格子による西日遮蔽、自然通風、自然採光、太陽光発電、雨水貯留 等の配慮が心地良く計られている。強いて苦言を呈するならば、お客様がカウンター前に立ったとき、営業執務室越しに緑に満ちた中庭が臨めたら従業員共々清々しいだろうと思った。又、正面入口周りにシンボリックな樹を配し、変形だが使い易い自然な形でのスロープ兼用通路があれば階段も要らず、事足りるのにと思ったりもした。 一連の信用金庫さんの作品の中で、今回特筆すべきは前面に市民ギャラリーが設けられていることにつきる。審査に訪れたときには水彩画展が開かれていて、眺めていると市民の方が冷たい緑茶を私共に供してくれました。使い勝手もいいのでしょう、心和むものがありました。 ギャラリースペースは低料金で夜間貸し出しもできるように、防犯区画も配慮されており、ファサードにシャッターも無く、まるで行燈照明のようにシンボリックに街に灯りを燈す景観は安心感があり、美しく、街にとって必要な施設となっている。 これからの地域金融機関のあるべき姿を具体化していて、必見に値する建物であろう。 |
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(増澤 信一郎) | ||||||||||||||||||||
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