所在地 :愛知県名古屋市中区伊勢山1−2−29 |
名古屋市中心部に建つ、1500人36教室の工業
高校である。 周囲は昔からの店舗や事務所、タワーマンションが混在した場所で、生徒の騒ぎ声が拡がらないよう、また、近くの高速道路から騒音を防ぐため、外に向かって開くことが出来ない。敷地にも余裕がなく、8階建て延べ約7500uの校舎の外には広場をとる余裕もない。 そこで、設計者たちは建物の中に斜めに貫く大階段を設け、校舎全体を広場(階段)とつながった 一体的な空間にすることを試みた。 各階平面は中廊下を挟んで間口8mの教室が並ぶ、ごく一般的な平面であるが、各階1〜2スパン分を吹き抜け空間とし、各階ずらせながら配置することで長さ50m高さ20mの大きな“広場”が生み出される。 9m幅の大階段は上に行くにしたがって幅や向きを変え、通学時間帯は大きな「みち」に、休憩時間には、思い思いの過ごし方をする「たまり場」になっている。 また、吹き抜けに面する教室壁は大きなスクリーンとなり、大人数が集まる講演会場にもなる。 生徒たちはこの「みち」を通って8層の校舎を行き来するのであるが、お互いの活動が見て取れて、校舎全体が一つの空間としてまとまっている。 決して特殊な事をしているわけでなく、普通の教室プランの吹き抜けをずらせながら配置するだけでこれだけの豊かな空間が生み出されている。 既存校舎のリノベーションにも使えそうな、見事なアイデアである。 |
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(陶器 浩一) | ||||||||||||||||||||
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