所在地 :岐阜県揖斐郡
 大野町は富有柿の産地である。この家は、柿農家の実家に向かい合い、用水と道を隔てた柿畑の中に建つ。目に入るのは三方の柿畑と、実家の落ち着いた屋根や高塀であり、周囲に対して身構えることなく開かれた構成が可能となった。
 若葉を芽吹かせた柿の木が、次第につややかな緑の度合いを増し、柿の実が色づいていく季節の移り変わりや、肉親が柿の手入れをする日常の、その中に家がある。周囲との関係は無防備にも見えるほどで、周囲の平穏さに依存しているが、こうした安定した周辺環境への信頼が、この家の大きな前提となっている。
 家は矩形の平面で二階分の天井高がある、単純な家型の形態で、道を隔てた集落とも違和感がない。家の内部には、壁で囲まれて天井に達する、小さな搭状の箱が七つ配されている。箱は2層で寝室や子ども部屋、ゲストルーム、書斎、浴室や収納などに当てられており、要所で箱を切り取った開口がダイニングやリビングに開かれている。一方、箱と箱に挟まれ、外部に面する部分は家族の集うリビングやダイニングになる。リビングやダイニングは更に柿畑に繋がり、実家の人たちが立ち寄り、一休みできる。
 ここでは個の居場所が、家族の居場所に繋がり、更に家族の居場所が柿畑と繋がる。それぞれが繋がり、関わりあうことで、人が暮らしていく穏やかで親密な場が生まれる。こうした領域の段階的な構成は、無理が無く、自然であり、いかにも楽しげである。
(菅原 洋一)
主要用途 専用住宅
構  造
木造
階  数 地上2階
敷地面積
275.98 u
建築面積
118.15 u
延床面積
128.36 u
設計者  AIRHOUSE DESIGN OFFICE
 桐山 啓一
施工者  丸平建設 株式会社

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