第42回 一般部門 入賞

所在地 :三重県北牟婁郡紀北町海山区相賀398−3
 熊野灘に面する入り組んだ海岸線と背後の山並みが美しい紀北町に立つ小学校である。既存校舎一棟を改修して活用しながら、新築の校舎、体育館とともに一体的な再整備が行われた。一方、他の地域同様、児童数は減少傾向にあり、また多雨地域における建築的対応が求められた。
 これに対し、計画上は「新旧校舎のつながり」「教育の場のつながり」「生活の場のつながり」「学校と地域のつながり」をコンセプトに、仮設校舎をつくらない綿密な建替計画により完成した。内部の仕上げ材や家具には尾鷲産のヒノキが多用され、柔らかな印象を与えている。
 整備後の校舎のつながりという点では、新旧校舎が三角形に配され、中庭を中心に回遊性のある空間になっており、子どもたちの様子が手に取るようにわかる。今後、児童数が減少することへの対応としては、教室間の間仕切りを可動式にし、4m間隔で教室サイズを変更できる。実際に、ひとつの教室が間口12m、奥行き8mの構成で使用されていたが、教室後方にオープンスペースを確保した教室は、ゆとりとともに様々な活用の可能性を感じさせた。また将来、小学校以外の地域施設の空間として活用することも可能であり、先見性と適用性を備えた空間計画である点は評価できる。
 外部に目を向けると、3つの校門から校舎へとアプローチするが、「縁側」と呼ぶ半屋外空間を介して、校舎へと導かれる。計画的には理にかなっており、軒の深い外観も印象的であるが、出来上がった空間や列柱がもう少しヒューマンスケールにフィットしていると、更に魅力的になると思われる。
 総合的に、明快な計画意図をもち、また人口や児童数の減少を見据えて実現された小学校として評価できる。
(小松 尚)
主要用途 小学校
構  造
鉄筋コンクリート造
階  数 地上2階
敷地面積
13,724.25 u
建築面積
3,388.32 u
延床面積 5,032.62 u
建築主 紀北町 紀北町長 尾上 壽一
設計者 株式会社東畑建築事務所
 名古屋事務所 
 執行役員名古屋事務所長 西村 隆男
施工者 北村・石吉特定建設工事共同企業体
 代表 株式会社北村組 
 取締役社長 北村 俊治

一つ前へ戻る