所在地 : 石川県金沢市稚日野町北222

 建物は利便性を考慮して北陸自動車道金沢西インター近くに造られた産業展示館や陸上競技場及び野球場などの施設が立ち並ぶ西部緑地公園の一角に位置し、県民のスポーツ振興と国際大会の開催可能な機能を備えた日本海側最大規模の空間を有する施設になる。
 平面はメインアリーナ、サブアリーナ、多目的室、プールと逓減しながら直線的に配され、道路側デッキへの長大なスロープとでV字型に構成した単純明快なプランは、相互併用ができるだけでなく間仕切りを吹放ったりガラスを多用することで、独立しつつも互いの活動を感じあえる開放感を生み出し、単純配列が持つ長所が遺憾無く発揮されている。 外観は高さ 7m程の木目型枠コンクリート打放しの外壁上にガラス壁が直線的に走り、その上を共に凹凸多面体になる庇屋根と徐々に低くなる採光用天窓のガラス壁とし、深い軒の緩いドーム屋根で覆われる。グレーを基調とした壁面と屋根の間に入る薄青色のガラスは存在感を誇示しながらも決して目立ったものではなく、 230mの長大な屋根も緩やかにうねる軒のラインによりやわらかさを醸しだし「風の流れ」を感じさせてくれる。 ロビーに林立した柱はあたかも森の広場となり各室へといざなう。室内は構造材を見せた吹抜けになり白を基調に明るく開放的で、可動式椅子を備え最大 6,000人収容のメインアリーナの大スパンを筆頭に、上部は内転びの柱と軽やかな立体張弦梁で覆われている。
 湾曲した尖塔台形の敷地を巧く生かし、日照が少ない北陸の気候を考慮して自然の採光や換気・通風及び地中熱や雨水など自然エネルギーを有効に利用し、海岸に近く常に風が吹くという立地条件に配慮した外観構造と意匠は周辺の環境と調和している。高さもスパンも違い更に屋根面が波打つといった構造を形にした施工者は、さぞ苦労した事であろう。

( 上野 幸夫)
主要用途 体育館
構  造
鉄骨・鉄筋コンクリート・鉄骨鉄筋コンクリート造
階  数 地上 1階 地下4階
敷地面積
52,398 u
建築面積
18,065 u
延床面積
28,316 u
建築主 石川県
設計者 株式会社 池原義郎・建築設計事務所
株式会社 オーク構造設計
施工者 清水・戸田・兼六・みづほ・近藤特定建設工事共同企業体

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