ミッドランド スクエア

所在地 : 愛知県名古屋市昭和区隼人町17

「人間の尊厳のために」という建学の精神を、空間づくりに活かしたいという発注者の意向を具現化した学校建築である。建設着手以前の何年もの時間をかけ、生徒や保護者の意見も取り入れながら、次のような基本コンセプトを掲げて、設計プロポーザルが行われた。
  (1) 伝統の継承と発展―次世代へ記憶を継承できる学校
  (2) 豊かなコミュニケーション空間―生き生きとした生活の場としての学校
  (3) 校舎は教材―人づくりとしての校舎建築
  (4) 6カ年の有機的なエリアデザイン―変化と成長に寄り添う場所
特に戦後建てられたコンクリート校舎については、生活の場と教材としての空間づくりがまったくなされていなかったという、発注者側の後悔と反省から、優れた空間環境を求める方向性が生み出されたように思われる。
これら空間的イメージを掻き立てさせるようなコンセプトに設計者が応えたのは、ヒューマンスケールの中庭や屋上庭園の周りに、ワークスペースやサロン、デッキを開放的に配置し、各学年各クラスの営み、生活ぶりが、互いに確かめ合えるという可視的な交流空間を提案したことである。
建設費は20万円/m2以下という厳しい条件であり、けっして高価な材料は用いられていないが、妥協することなく洗練されたデザインが実現している。
階高を3,550mmに抑えかつ3,000mmの天井高を維持するために、ダブルT型リブ付PC版が採用され、リブ底に配線と照明、空調ダクトを配列するなどの合理化が図られている。また8500×9000mm間隔の柱は長方断面として室内の凸凹を排している。
チャペルと多目的使用を兼ねたホールは、等間隔の門型フレームで構成され、トップライトによって崇高な空間が生まれている。
建て替わる以前は、高いがけの上に校舎が聳えている、日本中どこにでもあるありふれた閉鎖的な風景であったが、この新校舎が街の景観を良い方向に変化させた。地下鉄駅から近づいて行くと、通りの奥に大階段を有する大きなゲートが開かれており、人を暖かく迎い入れようとしている。建築の力とは何かを、あらためて実感できる作品である。

谷口 元
主要用途 中学・高等学校
構  造
鉄骨コンクリート造
一部鉄筋鉄骨コンクリート造・
鉄骨造
階  数 地上 4階 地下2階 塔屋1階
敷地面積
11,857.81u
建築面積
4,185.05u
延床面積
12,738.78u
建築主 学校法人 南山学園
設計者 株式会社 日本設計名古屋支店
施工者 清水建設株式会社 名古屋支店

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