JR大垣駅から車で約20分、旧北方町にある岐阜経済大学キャンパスから北東方向に対象地がある。付近は水田が広がる中に学校や住宅がまばらに建つ田園地帯である。敷地は平野井川の堰堤とその西にある排水路沿いの道路との間、奥行き約60m弱、形状はほぼ正方形に近い。周囲は、地形に変化のない平坦地で、隣接する平野井川が天井川なのか、その堰堤が唯一の緑のアイストップになっている。
この敷地のほぼ北半分を利用して建物を建て、南半分を駐車場として利用した日当たりの良い配置計画である。全体がRC壁構造2階建の建物計画は東棟を特養、西棟を通所施設(1階)およびグループホーム(2階)として大きく2棟に分け、渡り廊下でつないでいる。外部からの導線は道路側に玄関、来客用サービス導線を駐車場側、給食等のサービス導線を敷地北側に取っている。
プランは東西ブロックごとに個室部に囲まれた共用空間を持ち、それぞれを中央の導線でつなぐ典型的なクラスター構成の配置計画で、個室と共用部のゾーン区分が明快な構成になっている。
内部は壁構造のため不必要な凹凸が少なく、高齢者や車いすの移動のし易さに配慮されている。個室部に対して共用部の天井高を2100mmに下げ、3方向の外壁部分を全て開口部とし、メリハリのある開放的な雰囲気を持たせている。
外観はボックスタイプのシンプルな構成で、個室と個室の間、および共用部の外側に広めのバルコニーを配置している。個室開口部のルーバーに再生木を採用し、固くなりがちな施設に柔らかさを醸し出している。敷地内の緑は竣工後間もないせいかまだ成長していないが、施設の利用、居住者の暮らしと共に今後の成長が期待される。
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