所在地 : 三重県長島町源部外面337番地

ながしま遊館は人口1万5千人の旧長島町のほぼ中央に位置し、点在する民家や田圃に囲まれた敷地に、保育所、子育て支援センター、学童保育所、図書館、公民館、休憩施設と管轄部署の異なる施設を「人にやさしい町づくり事業」として1箇所に計画したものです。
 平坦でのどかな景観に溶けこみながらもランドマークとなるように、全体の形態は切妻瓦屋根の大小の重なりで表現されている。平面計画は各施設が独立しながらも関連のある機能が融合するように東西方向に並列に配置され、活動的な学童保育所を中心に西側は保育所、子育て支援センターと子供が主体の施設が占め、順に東側に図書館、学習館と繋がっている。図書館は子供と大人の利用が融合する施設として位置づけ、内部ゾーニングに工夫がみられた。東西軸に沿って敷地のほぼ中央に水田の名残の水路があり、当初は厄介物だったであろうが各施設をつなぐ役割と自然の摂理を学ぶ環境として外構計画にうまく取り込んでいる。鳥瞰写真で見た時、切妻屋根のみの組み合わせは大屋根が大きくなりすぎ、スケールに違和感を感じたが、実際に敷地に立つと、丁寧に施工されたコンクリート打ち放しの外壁と渡り廊下のコラムのバランスがよく、外壁の一部に使われている木部と外構の緑が溶け込み、心地よい緊張感を与えていた。周囲の集落に溶け込む複合施設を考える場合、機能は現代的に処理しなければならないが形態は流行に左右されない、やや伝統的なものにしようとすると、新鮮味にかけ、無難な形になりがちなところを種類を厳選した天然系の素材ですっきりまとめている。特に内装に多用されているシナ合板とコンクリートとのバランスの違いが各施設の用途の違いを表現しているところにその意図を感じた。

( 谷村 留都 )
主要用途 保育園・図書館・公民館
構  造
木造・鉄筋コンクリート・一部鉄骨造
階  数 地上 2階
敷地面積
19,112.56u
建築面積
4,804.49u
延床面積
5,420.92u
建築主 桑名市長
設計者 株式会社 日本設計
施工者 三井住友・東洋特定建設工事共同企業体

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