名鉄瀬戸線「大森・金城学院前駅」から北に向かって約5分、住宅地の坂道を登ると右手に赤煉瓦タイルの本部棟が建つ金城学院大学(以下本学)に着く。約11.2haのキャンパスは南下がりの丘に、中低層の校舎が南面して併行配置され、見るからに学校らしい建築群である。校舎は外観を白色系でまとめ、キリスト教女子ミッションスクールとしての清楚な印象を感じさせられる。 キャンパスは住宅地を挟んで、名古屋市内でも有数の小幡緑地に続く丘陵にあり、周囲には八竜湿地などの希少な自然が遺され、八剣社や古寺が瀬戸街道沿いにある。周囲の自然を背景に、本学キャンパスも緑に被われた環境を保っている。 今回の建物は、本学ではウエストキャンパスと呼ばれる西の丘、本部棟の正面に対峙して建つ。経路はイーストキャンパスの本部棟でエレベータに乗り、やや広めの歩道橋からウエストキャンパスに入る。既存建物の規模と比較してそれらを大幅に超える新棟が、そびえるように目に入る。 建設の契機は新学部設置によるが、既存学部の要望で共通講義棟を設けることとなり、大架構のゲートを挟んで、新学部と共通講義棟を建てることになった。一見スケールオーバーと思われがちなゲートはRC造板張りで、本学キャンパスの将来的なエクステンションの軸を示す。ここから北に曲がる導線をとり基準階を2階とすることで、既存棟の導線を大幅に改善した。外観は最近の大学建築にありがちなガラス建築ではなく、女子大としての柔らかさを表したいとの設計意図から、タイルとガラスを織り交ぜた水平線を強調、一部ガラス越しに内装の木を見せる。ここでは明かり取りの開口部材と言うより、外装材としてのガラスの使用に特徴があると思った。