![]() 所在地 : 岐阜県土岐市泉中窯町1−5 |
![]() |
日本有数の焼き物の町土岐市は1300年の歴史を持ち、基幹産業の焼き物が町の特徴を形作っている。敷地は緩やかな南下りの丘陸地で閑静な住宅街にある。小学校の歴史は古く、明治6年開校の児童数730人の小学校である。近年、地方自治体で意欲的な学校建築が見受けられるが、ハード部門での建築デザインではなく、教育のあり方を考えるソフトをつくり設計者はそれを建築的に解決していくという方向が見えてきている。 この小学校も教育関係者・学校側の教育に対する意向を受け、設計者はさらにそれを発展させ、授業方法・教室の在り方・子供の行動等を平面・空間設計に投影し、新たな提案をしている跡がうかがえる。小学校教育の実践、教育・生活の場の作り方など建築デザイン以前の課題の解決を随所で読みとる事ができ、さわやかで実に気持ちのよい作品である。雁行した教室群にゆるやかなカーブのアプローチモールが沿い、その上を緑とウッドデッキに開放し2階の教室群とつながる。ここに立ち、見上げると空気のドラフト作用を利用した風の塔・時の塔と呼ばれるガラスの塔が子供達の視線に入る。この2つの塔はきっと小学校生活の原風景として記憶に残り続けるであろう。 この施設は建築デザインの強い個性を全面に打ち出してはいないが、それがかえって心地良い。可変する教室、2つの音楽教室、多目的ホール、放送スタジオ、陶芸スペース、郷土資料室、地域の会議室(地域学校連携施設)等々、地域の中核学校として市が力を入れていることが充分感じられ、設計者は見事にそれに答えている。又、環境共生型施設としてローテク手法による種々の整備をし、1部を教材として子供達にも提供している。公立学校としてはよくここまで整備できたなと感服し、自治体と設計者の熱意が心地よく伝わってくる秀作である。 |
|||||||||||||||||||||
( 近藤 一郎 ) | |||||||||||||||||||||
![]() |
|||||||||||||||||||||
|
|