所在地 : 福井県福井市中央1丁目4−13

 福井駅前大通と市電の走る通りに挟まれた間口の狭い敷地に建つ公設民営のホール施設。当初駅前にふさわしくない娯楽施設の建設予定があったが、中心市街地の活性化を行っているTMO(タウンマネジメント組織)の会社と市が一緒になりこの計画を進め、コンペで設計者を決めた。本格的な規模の大きい市民ホールは少し離れたところにあるが、もっと気軽に、多種に渡る劇場ホールを求める多くの声に答えるように考えられている。2階から5階までを占めるメインホールは細幅ながら天井の高さを充分に確保した「シューボックス型ホール」となり、側方反射音が良く効いて関係者の評価も高いとのこと。和・洋の音楽だけではなく、寄席、ロックコンサート、演劇、ダンス等々と幅広いジャンルに対応できる欲張りな構成となっている。通りから通りへ抜けられる通路とそれに付随するカフェ、地下1階にあるバンド練習室群と録音スタジオ、チケット売り場兼用の情報コーナー、ちょっとした発表会もできる6階の稽古場など、音楽、演劇を中心とした総合的な施設になっている。こうした施設を小規模であっても商業地に作ることで、若者の練習場の確保や演奏会の余韻を楽しめる食事施設が利用できるなど市民の健全な娯楽をトータルで支援する施設のさきがけとなっていることが大いに評価された。今回特別賞という扱いになったのは、内部の施設の充実と合理的な経営に比べ外観デザイン、納まりなどに期間と予算の厳しい壁があったとはいえ建築賞としての評価には少し弱いとの意見が多数あったためである。見学時はジャズライブの設営にしてあったがそっけない内部仕様が逆にニューヨークのジャズクラブのイメージを彷彿させていたのが印象的だった。

( 谷村 留都 )
主要用途 劇場・スタジオ・カフェ
構  造
鉄骨造
(地下部)鉄骨・鉄筋コンクリート造
階  数 地下 1階 地上 9階
敷地面積
447.84u
建築面積
382.08u
延床面積
2,478.49u
建築主 まちづくり福井株式会社
設計者 仙田満+環境デザイン研究所
施工者 大成・村中共同企業体

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