所在地 : 愛知県一宮市大字更屋敷
 一宮郊外の国道近く、田畑であったところが造成され、戸建て住宅、アパートにスーパーや月極駐車場、修理工場など、日本の都市近郊の市街化調整区域に広がる典型的な住・商・工混交の典型ともいうべき地にこの小住宅は有る。しかも存在感のある姿で。応募された建物名称にあるとおり、周辺の環境が将来どうなるかわからない不安な地にあって、「防禦」の姿勢をとらざるを得ないという点は最近多くなった自閉的、自己完結的住宅作品の一つと思われた。しかしながら現地に行くと、踏み台さえあれば屋根に届きそうなスケールで、板張りの外壁も暖かい風合いで威圧感など無く親しみが持てる。駐車スペースを兼ねた入り口を通って中庭に向かうとなだらかな芝生が広がり、一番奥の玄関付近では空に手が届きそうな位に、空間が切り取られている。小規模な住宅であるがすべての部屋はこの中庭に面しており、入り口側へ開いた変形ロの字型の形状と傾斜のおかげで、図面で見るよりも広々としている。家具やサッシなどは工業製品を加工して使用しており、住宅産業界の既製品の使用を極力抑制しようとしているのはコスト抑制効果も有るかもしれないが、むしろ設計者と建築主のこだわりであろうと思われた。
 依頼主夫婦は、設計者が過去に中部建築賞を受賞した住宅をみて依頼されたという。このような連鎖が地域で多く起きてくれば、凡庸な市街地が拡がりつつある日本の風景も少しはよくなっていくのではないかと思われた。
( 谷 口 元 )
主要用途 専用住宅
構  造
鉄骨造
階  数 地上 1階
敷地面積
156.24u
建築面積
83.44u
延床面積
74.42u
建築主 後藤 信雄
設計者 A―A。
施工者 株式会社 アーキッシュギャラリー

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