所在地 : 愛知県愛知郡長久手町大字熊張字茨ヶ廻間乙1533−1他
 愛知県によって設置された青少年公園が、「愛知万博」会場の一部になったことから日本庭園として整備され、その一角に国際交流と青少年の日本文化育成を意図して建てられたのがこの茶室である。万博会期中には各流派による大茶会等が開催された。
 広間棟、立礼席棟、路地の結界、付属屋が南側の池と庭園に面して雁行して配置されている。各棟には小波葺きと称される瓦とステンレスの屋根が載る。建物の裾はウロコ模様の石張り土間で統一されている。大きな茶室群を雁行に配置、設計者による新開発の屋根、土庇と土間の扱いなどによって柔らかく穏やかに感じさせているのは見事である。
 北側の長屋門から路地をへて玄関に入ると左手に立礼席、取次から広間と小間への渡り廊下に至る。小間は如庵の写しと聞く2帖半台目である。全体の内部仕上げは栗、杉、檜、漆、柿渋、土壁、和紙などが用いられている。威厳や格式を排し庶民的な佇まいを表現するという設計のねらいは、材料の吟味とディテールによって心地よく表現されている。
 この茶室の特徴の第一は構造と設備の計画である。鉄筋コンクリートと鉄骨に全ての構造を持たせることによって茶室の造りを張壁として自由な平面を得ている。設備的には鉄骨梁の上にコンクリートスラブを載せ、小屋裏に空調機器やダクトを配し、スラブ下の化粧天井のスリットから給排気をしている。この方法によって静寂を必要とする空間の防音、防震を解決し、小壁や床脇などを空調のためのデザインから開放している。
 第二は細部設計の手法である。鋼材と木材を組み合わせ、現代日本の形を追求する態度、鉄筋コンクリート壁、木造大壁、新壁など、厚さの異なる間仕切の壁心のズレを巧みに収めたディテールは数寄屋の近代化に挑んだ吉田五十八の仕事を想起させる。
 ここで示された計画手法は今後、中規模以上の伝統的建築にとって参考になる。この施設は博覧会閉会後も庭園とともに共用される。これからも愛情をもって維持管理され、活用されることを願う。
( 藤 木 忠 善 )
主要用途 茶室
構  造
鉄筋コンクリート造 一部 鉄骨造
階  数 地上 1階
敷地面積
1,942,249.79u
建築面積
324.14u
延床面積
448.75u
建築主 愛知県
設計者 株式会社 都市計画研究所
株式会社 堀尾佳弘建築研究所
施工者 株式会社 伊藤工務店

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