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| 世界中どこにもあるガソリンスタンドの標準をうち破る試みが、経営者と設計者の協働でなされたプロトタイプ1号店である。従来、客の待合い場所はスタンドの一番奥の整備工場に隣接したところで、車と給油ポンプとコンクリート舗装を介して、街路から隔てられた所に居るしかなかった。また街から見てもガソリンスタンドの存在が街の景観形成に貢献しているとは言い難い。 ここでは街路側の前面に来客者がくつろいで街を眺められ、愛車の給油や整備状況を見守ることができるよう床レベルを上げ、池の上に建物が浮かんでいるように工夫している。その建物を基礎として片持ちの巨大な屋根庇を給油ゾーンにかけ無柱空間としている。更に奧に配された整備工場も極力柱や壁をなくし、ガラス張りが多用され、整備そのものが演じられる空間として昇華させている。建物が前面道路側にあるため入口が分かりにくい感もあるが、一限の客を拾うよりも、固定客を拡げるというコンセプトで経営方針の転換が図られている。 今後他の給油所が同じデザインコンセプトで展開されていくとは考えにくいが、グローバルスタンダードのガソリンスタンドデザインに一石を投じた作品として評価できる。 （谷口元）
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