所在地 愛知県知多市 |
知多の新旧入り交じった丘陵の静かな、落ち着いた閑かな住宅にある。 南側と西側に道路があり西側の神社側からのアプローチとなっている。南側は人の背ほどの高台になっており西へとスロープになっている。 格子とデッキを見上げる南方からの眺めは、周囲の情景と違和感なくとけこみ、旧来からのおもむきを漂わせ落ち着きをもったたたずまいである。 ご両親とご夫婦の2世帯4人の生活の場である。南側にご夫婦の生活、北東側にご両親の生活の場を設け、共に身体的ハンディツキャプを持ちながら豊かな生活空間を楽しんでいられる。 居間から望まれる南方の風景は、低く水平に拡がる廂をこえて穏やかで明るい採光を、格子状の杉板戸の間を透し、落ち着いた空間を醸し出しプライベイトを保ちながら、この住宅の形体を特色づけている。内側のガラス戸を開け放せば、さわやかな風が吹き抜け心地よい。またこの格子を開放するとパノラマの風景と中部と外部の空間が一体となり大きな空間を創りだしている。 決して広くない敷地の形状を、周囲の環境、自然を巧みに取込み、利用し小粒な住宅に大きく拡がりのある空間を、内部の空間も小粒ながら人間のスケールにマッチし、気取りなく、広く豊かな空間に構成されている。内装も安価なラワンベニア、ステイン仕上げで、構成され材質に関わらず丁寧な施工がされ素直で好感の持てる空間である。家具、照明もその空間に、生活にあわせ設計されており、落ち着きのある空間で居心地がよい。 玄関へのアプローチの中庭、東の小さな裏庭、南のデッキの下の空間をも住まい手趣味を生かした草花が時折々の風情が楽しませてくれる。暗やみの中に浮かぶ柔らかな淡い光の空間はこの周辺の人々に郷愁を感じさせてくれるだろうと思われる。 ( 上 村 貞一郎
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