西春の家
所在地 愛知県西春日井郡
 名古屋の北、名古屋空港の近く西春にあり、平坦な住宅地で現在は静かな場所ではあるが、南側は商業地域であり、周囲にはアパート等が混在しつつ、今後の静かさはあまり期待出来ない変化のある環境であろうか。
 ご両親の住宅の敷地の一部東側を利用した、若い共稼のご夫婦と男の子二人の生活の場である。道路は南側に位置し、北側にはアパートがありプライバシーを守る必要があり、外部からの視覚を遮る考慮がされている。
 南側の道路から駐車場、その上階の子供室、テラス、居間と厨房、テラス、そして寝室と南北に空間が連なった構成で、その形態は単純明快な箱型の一体的空間構成である。二つのテラスを挟み、全体が一つの空間として生活空間を構成し、外部と隔離された箱の中で(唯一ご両親の庭の方向にはテラスの一方が開けてはいるが)風を運び、太陽の光が差し込み、青空、星空を眺め、四季の便りをこのテラス空間は運んでくれるであろう。また駐車場からステップアップしたテラス、玄関の構成も格子等で緊張感と解放感、空間の連続性に好感が持てる。
開口部はテラスに向け大きく開け、外と内の垣根は取り去られ、小住宅のイメージを感じさせることはなく、全体が開放的で明るく広さを感じさせない心地よい空間である。このような空間から自然を感じさせ、忙しいご夫婦の生活の中で、今子供達との関係を大切にされている。この新しい生活空間に、これからの家族像が興味深く作り育てられていくように、住宅とのかかわりあいながら、豊かな、新しい生活の姿が見いだせるような予感がする。居間を中心とした、子供達と家族の一体感と緊張感、そして柔らかくプライバシーを守りながらも、今後の住まいとの関わりを大切にしていって戴ければと思います。
( 上 村 貞一郎 )
主要用途 住宅
構  造 木造一部鉄骨造
階  数 地上2階
敷地面積
179.77u
建築面積
91.00u
延床面積
97.23u
設計者 向井一規建築設計工房
施工者 株式会社 前田工務店

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