所在地 愛知県刈谷市中山町2丁目38 |
この施設は、企業城下町といわれる愛知県の自動車関連産業集結市にある、地域住民に開放された企業の社員向け厚生施設である。大規模工場を抱える企業と、文化施設にあまり恵まれない地域社会との共生を目指した街づくりとしても取り組みが注目された。 建物は大規模なアトリュームを角に配し、他の二辺に立体的に大ホールや飲料施設、会議などの厚生施設を階段状に積み上げている。一番のポイントはアトリュームの性格と使われ方であろう。このアトリュームは地下1階に設け、地上4階までの吹き抜け空間となっており、巨大なガラススクリーンを通して街並みに対峙している。地域住民との交流の場である地域開放された部分としては、このアトリューム部分のみであるが、30m×40mの広さを持ち、外部の視線から逃れるために地下1階レベルにフロアを下げており、落ち着いたものとなっている。また、この空間の装置も色々工夫され、特に水や植栽等を巧みに使い、心地良い環境作りに成功している。ここの空間利用方法は地域の人達が社員と共に喫茶や、様々なイベント(演奏会、祭り、フォーラム、ギャラリー等)に使われており、目標が達成されていることを感じた。 その他の施設も社員関係者専用という条件ながらうまく配置して、この企業が果たしている社会的役割を、このアトリュームを介して社員ならずとも実感させるのは設計者の空間構成の巧みであろう。グローバルな企業としての責任を「地域との協調」というコンセプトで企画と建築で表現している。クライアントと共に努力した感じの良い作品である。 ( 田 中 楯 夫
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