やや北斜面の落葉松林の木立の中に、別荘地の枝道より距離を持って建設されていて外観の際立ちは感じない。一階に被さっている2階部分が深いひさしとなり陰影が強いこと、2階の外壁に用いられている落葉松材がほぼ黒色であることなど、木立に埋もれる要因となっている。
 2階の木造部分は8畳の広さを9つあわせた6間四方の平面でそれを一階部分の鉄筋コンクリート耐力壁とテンションスラブが支えている。1階部分は、耐力壁4枚が中央のエントランスホールの周りを水車の羽のように卍型に左回りに配置されている。
 たれ壁も腰壁もなく南向きの庇の下の露天風呂といった風情になる。別荘ならではの開放性である。2階は、中央に大きくとられた居間やそれと接する食堂が大きなバルコニーを介して外部へと連続している。内部、中間部、外部という空間のヒエラルキーが、雨戸や障子の開閉により変幻自在に変化する。全体が開放的空間構成であるが故に、すべての部屋より外部への視線が綿密に計算されている。
 建物は基本的に内側の白と、外側の黒の2色。明かりを灯すとあくまで明るく、唐松林の空間に浮き上がっている気分である。この光が、逆に外部より見たときに闇の中に煌々と光り輝く。昼間と夕刻の建物の様のダイナミックな変化である。
( 松本直司 )
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