周囲に林立する赤松に、ほとんど同化するように杉板張りの立面が現れる。外壁が焦げ茶色でその角が円形になっていることが、建物の姿を周囲の環境になじませているようだ。下駄の歯のようなコンクリート打ち放しの4本の基礎の上に、コンクリートの高床が貼られれ、その上部に木造の本体が載る構造である。上部は大きな居間とエントランスデッキ、寝室の3空間からなり、それらをS字形の2重の壁が厚みを持って包み込んでいる。外部の冷気を遮断する断熱効果があるだけでなく、その中に収納や、トイレ、風呂、キッチンなどの水場を納め込んでいる。コーナーが円形に丸められた大きな壁面が、床から高い天井まで遮られることなくそのままの形で連続し、柔らかく空間を囲い込んでくれる。
 2重壁面のS字の空きの部分には大きな開口がとられている。外側に木製のデッキを張り出し、南西側の裏庭を望んでいる。エントランスデッキに穿たれた開口で、将来にはスロープを設けることによりバリアフリーの入り口として想定されている。
 全体として、厳しい自然からここの週末利用者を優しく守るというような、そんな設計意図を強く感じる。
( 松 本 直 司 )
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