「やすらぎ」をコンセプトとするデザイン手法は、奇を衒うものではなく、癒し効果のある「緑」と落ち着きを促す「水平線」という自然なエレメントを導きだしています。「緑」と「水平線」を巧みに組み合わせたファサードは、単にデザイン的に洗練されているだけでなく、患者を中心にすえた機能のあり方を追求した結果として具体化している点で大いに評価したいものです。
 その結果、「鉄格子」と「厳しい監視の目」という従来の精神病院のイメージを全く払拭し、静粛で落ち着きのある空間を生み出しています。こうした特殊な精神病院のみでなく、効率性と過度な人工環境が卓越した様々な施設に求められています。この建物には、それらに対するヒントや糸口がさり気なく隠されているようです。
( 鈴 木 賢 一 )
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