箱型の持つ単調さを跳ね返した造形はすばらしい。 特に、深い軒とその下に張り出した木組の美しいバルコニー、素肌の梁、柱、いた壁、濡れ縁、大きなガラス面、そこに踊る光と影、明るい庭に面し均整のとれた南面がみごとである。 居間から見上げる天井は杉の厚板が垂木、小屋梁とともにあらわしとなり、和室もまた同じく二階の床板(杉厚板30)が455mm間にかけられた梁もろとも化粧となっている。珪藻土の壁、杉素木縁の襖などとの調和がうつくしい。 一方、南北の外部に面する開口には重ね引きこみ戸や,無双つき雨戸等が上手につかわれており、東海地方の気候風土に対する配慮がじゅうぶん感じられる建物でもある。
 ただひとつ、残念であったのは両妻壁の仕上げ材が金属以外に考えられなかったと言う事である。
( 田 邊 尚 美 )
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