人の流れを誘導するように立てられた「街壁」と、通りに対して大きく張り出した切妻屋根に形態的特徴があり、小規模でありながら通に対して個性的で品格のある表情をみせている。ロビー空間に接続して設けられた2つの展示スペースは、背後にまわると墨漆喰仕上げの壁として表現されており、かつての中山道の記憶を刻み込んでいる。古の街道の道幅をそのまま落とし込んだという中庭は、効果的に内部空間に変化を与えており、全体として、建物を特徴付けるスケールや素材、形、色彩などは、街道と大井宿に見られる伝統的土蔵建築を参照したものであり、小規模な街角の美術館にふさわしい人間味のある雰囲気を表現している。
( 鈴 木 賢 一 )
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