この建物の特徴は、昔の技術と先端技術を融合して、現代における伝統的形態の建築物を建設するための一方式を示していることであろう。改築の設計条件として、樹木保存、伝統様式の保持、明快な動線計画、耐震性、耐久性、長寿命化をうたっている。
 伝統的な木造のイメージを保つために、部材のプロポーションに内宮と外宮の神楽殿の規模や各部の寸法を比較検討したとのこと。さらに、特殊鋼管を採用することにより柱の太さを抑え、「匠明」を基本とした木割を可能にしている。軒反りは実例研究に基づきコンピュータ解析を行い、さらにしなやかな曲線にするために原寸図による調整を行っている。建物機能を神楽殿、願主待合室、授与所、職員の4ゾーンに分けることにより明快な動線計画を可能にしている。待合いゾーンも拡大していることは時代要請への素早い対応を感じさせる。地震時に鉄骨やPC板に対して化粧材としての木材がそれらの振動に追随できるように、目地等に新たな工夫を凝らしている。各部材は伝統的仕口、継ぎ手を用い、金物や接着剤を用いず、構造材としての鉄骨の防錆処理時に取り外しを可能にしている。
( 松 本 直 司 )
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