東邦ガス知多緑浜工場管理センター所在地 :愛知県知多市緑浜町1 |
東邦ガス知多緑浜工場は、今後増大するガス需要に応え、その安定供給のために2001年11月運開を目指して8年がかりで建設中のガス供給の主力工場である。主要施設のLNG(液化天然ガス)タンクは、貯蔵容量20万KLの世界最大級で完成後には、ここではLNGの貯蔵とそれを昇圧して海水との熱交換により気化させ、都市ガス用原料と発電用燃料としての天然ガスを生産することになる。 敷地は、常滑沖で着工したばかりの中部国際空港の北約8kmの海岸線上にあり、知多市の海岸線の景観上大変重要な位置を占めている。従って景観への配慮からLNGタンクは地下式を採用し、敷地の25%を緑地等の環境施設としている。工場の東側つまり市街地側は地下タンクの掘削土を利用して奥行100m敷地全域にわたって盛土し緑化をはかっている。その他ビオトープを設けるなど周辺環境との調和をはかりながら新しい海岸線の景観整備に積極的に取組んでいる。 当施設はこの工場の運転管理の中枢を担う管理センターとして建設された。「環境にやさしい天然ガス」製造工場の象徴となる様に開発緑地や水景と一体化された形は美しい。全体は1棟に扱われているが構造上は2棟に別れていて、中央監視室のある北部分は免震構造を採用して必要最小限の危機管理に対応している。構造は鉄筋コンクリート造(PC造)で、柱(壁)と梁は工場で製作されて現場で組み立てられたもので、躯体が即仕上となっている。素朴でシンプルなデザインは印象的である。揖斐の骨材を選んで色調を整えたり、PC組立の細部に至るまでのディテールの美しさは優れた施工者を得て実現できたものと拝察した。 ただ配置上の特徴と言われるこの建物の軸線を、敷地や他の施設のそれとの直交をさけて45度の角度をつけた配置には、アプローチのときの正面性や工場施設の監視のためとは言え、結果として開口部がほぼ東西に面したこととその開口率の高さには、省資源省エネルギー対策上空調負荷への特別の配慮が必要であった様に思われる。 |
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(森口雅文) | |||||||||||||
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