師勝町福祉センター「もえの丘」
所在地 :愛知県西春日井郡師勝町大字熊之庄字大畔48番地
はばたく小鳥をイメージし、平面と立面がほぼ左右対称の建物となっている。このことが、周囲の風景から浮いてしまい、親しみにくく、土地にあっていないのではないかという疑問のもととなる。しかし、敷地の四隅に羽が伸びており、そのために人々をどこからでも受け入れるような入りやすい感じを与えている。
左右対称であることが平面の自由度を無くしているのではないかという疑問も起こる。しかし、逆にうまく部屋機能を配置したのだと言うことにもつながる。残念ながら全部の部屋を見れたわけではないし、短時間では利用がうまくいっているかどうかは判断がつかない。2階の和室では窓側に縦桟のみの障子が並び、極めてシンプルでかつ新しい雰囲気であった。さりげない意匠に設計者の力量を感じる。
建物の後方には左右対称性を破るふたつの円形空間が取り付いている。1階が食堂、2階が和室、もう一つがやや楕円平面のステージである。円形空間の天井がたれ下がって見えたり、矩形とのちぐはぐな感がある。楕円形の屋上は楽しい空間になっている。
とにかく美しい建物である。白く塗られたスチールとプロフィリットガラスの外観、明るく開放的で期待感のあるアトリウム、芝生や遊具のある屋上庭園。アトリウムで落ち着いて休憩する人、山あり谷ありでくねくね長く伸びた屋上庭園では、子供たちの楽しく遊ぶ姿が想像できる。ガラスのメンテナンスは、冬の暖房は、屋上の安全性は、などといろいろ疑問がでてくるが、美しいことには変わりはない。型どおりの福祉センターとはひと味違うユニークな建物である。
(松本直司)
構 造
鉄筋コンクリート造
一部鉄骨造
階 数
地上2階
延面積
4,172u
建築主
師勝町長
長瀬保
設計者
高松 伸+株式会社
高松伸建築設計事務所
施工者
戸田建設株式会社
名古屋支店
取締役支店長 青木富弥