富山国際会議場所在地 :富山市大手町1-2 |
富山国際会議場は富山市の中心、大手町地区にあり、緑豊かな大手町モールと城址公園に表を見せて静かに建っている。 この施設は3階に設けられた825名収容のメインホールと多目的会場が主たる内容であるが、近接する市民プラザやホテルと連携して、コンベンションの拠点施設として機能する。同時に又、日常的な市民活動の場として利用され都市地区の活性化を担っている。 大手モールと城址公園側に面する側には、エントランスホール、ギャラリーや会議室、そしてメインホールのホワイエが配置されているが、その外装面は透明ガラスとその内側に木製格子という二重の被膜により構成されている。ガラスの内側に見える木の格子は現代的でありながら、和風と伝統的な印象、繊細で上品なファサードを実現している。この二重の表層は設計者の意図する変化する多様な表情を見せている。見る角度により、或いは天候や太陽の位置により、青空や白い雲、豊かな緑や城の石垣等を映したり、内部の格子そのものやロビーの人々の動きを見ることができる。特に夜間、内部の明かりがシルエットとなった格子を浮きあがらせ、ホワイエの雰囲気を街に見せる。 正面側のコーナは上下階とも二層の吹抜けのパブリックな空間にエスカレーターが配置されていて、城と石垣、緑豊かな大手モールの街路樹が美しく、すばらしい景観を獲得している。 デザインは全体的に繊細で上品であり、抑制されていて静謐である。色彩も無彩色が支配的であるが、エントランス正面の赤いトラバーチンの壁やエレベーターコマを覆う銅板の落ち着いた赤い色が、暖かみと華やいだ雰囲気をつくっている。 上品さと落ち着いた装いは周辺に好ましい影響を与える建築である。 |
|||||||||||||
(田中 光) | |||||||||||||
|
|