山本邸所在地 :愛知県蒲郡市中央本町 |
四辻の東南の角地に位置するこの敷地は、北側の道路を隔て小公園のある閑静な住宅地の一隅にある。敷地は三方をRCの壁がシェルターとして抱え込んでいる。主体は木造で、架構の特性、経済性、デザイン上の意図から実にシンプルで直線的なプランである。アプローチ〜玄関〜中庭、玄関〜リビング〜デッキ〜前庭に底から匂いたつ様な雰囲気を表出させたいと言う意図が窺える。壁は全て漆喰仕上げとし、玄関、リビングの床は杉の足場板を加工した物だと言う。リビングの天井は10cm×25cmの梁が45cm間隔に掛り2階の床材が直接仕上げとされている。梁と梁のあいだに漆喰壁が塗りあげられていて、白い壁と木の地肌のコントラストは素敵である、ただ構造材の収縮による現象が心配される。化粧室、浴室、台所、リビングの動線も上手く処理され主婦の軽快な動きが想像される。リビングのデッキと白い前庭、一本の楓は寺院の石庭を意識して和みを表現したものとして心憎い手法である。南面と小公園に面する2階の北面以外に殆ど開口部の無い白一色のこの建物が、内に、木の温もりと漆喰の調和が織り成す『和』の世界を表現する心地良い作品である。 | |||||||||||
(飯尾健太郎) | |||||||||||
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