名古屋市立大学芸術工学部 芸術工学棟

所在地 :名古屋市千種区北千種二丁目1-10
 名古屋市立大学は市内にキャンパスが分散し、この芸術工学部キャンパスはその1つであり、小規模な小ぢんまりしたキャンパスである。以前はここに女子大があったが、既存の施設を改修して利用しながら、今回の審査対象となった芸術工学棟を新築したものである。この学部は視覚情報デザイン学科、生活環境デザイン学科の2学科からなり、学生定員はそれぞれ30人である。建築、アーバンデザインなどの分野を含み、音環境や光環境、緑化計画からサイン計画まで含めた幅広い総合デザイナーの育成を目的としている。
 この棟には、講義室、音楽やデザインスタジオ、実験室,実習室などがあり、主に教育関係の機能が配置されている。教官や、管理部門は別棟の改修された既存施設にある。内部は、中央に吹き抜けの大空間があり、そこから外を見るとキャンパスの中心を通り、正門に繋がる軸線を確認できる。この吹き抜けの空間には2階に繋がる幅の広い階段があり、それを座席として利用すると、ここで集会を行うことが可能であり、単に建築家の創作意欲を満足させるだけではなく、実質的に使える機能を持った空間となっている。
 実験室は間仕切りを簡単に変更でき、種々の形態の実験に対応可能となっている。3階のアーバンデザイン・建築デザイン室は1つの大部屋の内部を衝立てで区切っただけのレイアウトであり、これも簡単にレイアウト可能であり、柔軟な使用に耐えるように設計されている。
 この作品の外観は特に人目を引くような派手さはないが、利用者のニーズを的確に捉え、将来の用途変更も考慮に入れながら柔軟な使用形態を提案しており、建築計画的に見て、これからのデザイン教育のための施設のあり方に対するさまざまな工夫の感じられる作品である。以上により、中部建築賞の入選作品として十分な価値を有している。
(松下聡)
構  造
鉄筋コンクリート造
階  数 地上4階
延面積 
6,238.52u
建築主  名古屋市長
 松原武久
設計者  名古屋市立大学芸術工学部
 学部長 ノ澤忠
 名古屋市建築局営繕部
施工者  フジタ・永楽
 特別共同企業体 代表者
 株式会社 フジタ 名古屋市店
 執行委員支店長 八木清文
 株式会社 永楽開発
 取締役社長 進藤武二

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