石川県ふれあい昆虫館

所在地 :石川県石川郡鶴来町八幡町
 この昆虫博物館のメイン・アトラクションは館中央に配された大きな「放蝶温室」である。熱帯の樹木や花弁が植えられた空間を、様々な蝶が乱舞し、そのなかをつづら折れになった通路を、三階分登りつつ蝶を身近に鑑賞するというアイデアは秀逸である。また、温室といえば普通想像される細かいフレーム割りー視覚的にもうるさく開放感もないーを避け、壁面を大きな板硝子面とし、天井も強化板硝子をヴォールト状に張って外部空間への連続性、開放性のある温室空間を創りだしている。温室空間に現れる構造体は面的であるかあるいはボックスに包んだものとなっており、蝶が迷い込まないようにする一方、視覚的に目立たないものとなっている。また温室上部から温室全体を眺め下ろしたときの正面の硝子壁面を通して望む獅子吼の山々の借景が素晴らしく、景観が配置計画のポイントになっていることを窺わせる。この「放蝶温室」を中心にこれを取り巻くようにして各階の展示室、学習室などが配されており、動線計画はよく考えられていて破綻がない。一階をRC造とし2階はSRC造、温室上部はS造なのでこれとの連繋の為3階をS造にするという混構造を取ったのも、結果的には建物上部に至るほど軽快感のあるデザインとなっていて、デザイン的にも成功している。コンクリート面と硝子面の組み合わせが抜群のバランスとプロポーションで精緻な取り合いで収まる外観デザインは清洌な感覚である。またコンクリート壁面も、コンパネ打放し、昔懐かしい杉小板張パネル打放し、ぴしゃん処理、そしてコンクリート同色スクラッチ・タイル張りなど、四種のテクスチュアを遣い分けし、組み合わせて、繊細な神経濃やかな造形を見せていることは評価できる。
(竺 覚暁)
構  造
鉄骨
鉄骨鉄筋コンクリート造
鉄筋コンクリート併用混構造
階  数 地上2階
延面積 
2,728.13u
建築主  石川県知事
 谷本正憲
設計者  瀧光夫建築・都市設計事務所
 瀧 光夫
施工者 山下・大日特定建設工事共同企業体
代表者
山下建設株式会社
代表取締役 山下隆義
大日土建株式会社
取締役社長
橋場健次

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