研修センター 株式会社マイ・フレンド所在地 :静岡県熱海市桃山町8-10 |
熱海駅前広場から北の斜面に、一際目を引く白いファサードと太陽光線を反射している建物が対象物件だと言う。車が通行するには、これ以上狭くこれ以上ヘアピンカーブの多い道路はないだろうと思う坂道をタクシーが喘ぐ、途中何台かの車と行きつ戻りつすれちがう。自分の敷地を誇示するように道路いっぱいに立ち上げた旧地主の石積みを撤去して5m余の前面道路を確保し、傾斜地の建築に宿命の擁壁対策として、土砂崩れの衝撃力と土圧を考慮して、柱・梁・耐力壁を配置するとともに建物背面の斜面に面する壁面は3階迄無窓とするなど十分な配慮がなされている。北側隣地のソニー保養所への眺望権、日照権を配慮し一部階数を減らしてある。外部は勿論内部も各階に植栽、坪庭、光庭、空中庭園を設けるなど緑化にも勤めている。建物及び周辺環境は行政の要望もあり、ライトアップされている。光源は、化粧パイプに取りつけられた筒状の照明器具によるものである。建物は、威圧感を与えないように壁面をできる限り透けた感じのつくりとし、化粧パイプ、吊材等建物のボリュームを視覚的に落とし繊細さと、駿河湾に浮かぶ白い豪華客船のイメージとしたいと言う思いが十分感じられる。トップライトからの採光はエレベーターシャフト(ガラス)と、それをまわる階段室を通して下階へ誘導する。逆に1階エントランスより通風はそれを各階に配分するに十分である。婦人の製品販売会社の研修センターと言うことで各階の配置、バランス、収納スペース、化粧室、等各所に繊細な配慮がなされている。施工的にも素晴らしい作品として一見の価値がある。 たまたま、オーナーにお会いする機会を得ましたが、使用勝手と言い各部屋の出来栄えと言い申し分無いとのお褒めの言葉を頂戴すると共に、この施設を地域のご婦人の文化活動にも積極的に提供してくださる意思のあることを伺いました。 | |||||||||||||
(飯尾健太郎) | |||||||||||||
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