名古屋 大林ビル所在地 :名古屋市東区東桜一丁目10-19 |
本建物は栄公園の北側に建つ延床面積6,876u、地上10階、地下1階の事務所ビルである。公園を見下ろす南側のアトリウムはフルハイトの透明ガラスで覆われており、オフィス空間を広く感じさせている。1階分のオフィス面積は約500uで一つの課で使用するには狭すぎるため、2階分をつなぐらせん階段がアトリウム側に設けられ、2層構成のオフィスとなっている。 このビルの特長は各種の先端設備が設けられ、ビル全体がビル設備のショーウィンドとして造られているところにあり、企業イメージ発信基地の自社ビルとして設計施工した大林組のはっきりとした設計コンセプトが伺える。主な先端設備としては、フリーアクセス空調(給気チャンバーとなる二重床に可動の吹き出し口を設けることで、フレキシブルな執務スペースを実現)、簡易型エアフローウインドウ(ガラスの内側にブラインドとロールスクリーンを併設して光量を調節しながら、ガラス周辺の暖・冷気を天井・床下へ排出、一部にエアバリアを採用)、天井幅射冷暖房、氷蓄熱空調、炭素繊維で電磁シールドした空間、ウォークスルー型耐火スクリーン(半透明の布に似た素材で、切り込みから出入りが可能)などがある。この他、摩擦ダンパーを用いた免震システム、井水利用設備、非常時用太陽光発電装置を備え、地域防災施設としても機能するよう配慮されており、これからの事務所ビルの機能を考えるうえで大変参考になるビルである。 |
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(森野捷輔) | ||||||||||||||
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