本建物は知多半島の自然豊かな丘陵地に建てられた、延床面積4,564u、平屋建て(一部2階)の老人保健施設で、周囲にはこの施設の施主である社会福祉法人・愛光園の運営する身体障害者療護施設、精神薄弱者更生施設、授産施設などが点在する、全体で19haの敷地の中にある。建物の外観は自然との調和を重視して、コンクリート打ち放しの躯体とステンレスと鉛を貼り合わせた複合版の屋根を中心に、淡いグレーの色調でまとめられている。内部は木造の明るい色調の内装が施され、随所に自然光が取り入れられている。
建物の中央部は広い機能回復訓練室などからなる共用スペースとなっており、西側には中庭をはさんでデイケア(通所)施設がおかれ、東側には20ないし40人収容の4ブロックの療養棟がクラスター状に配され、各棟は広い回廊でつながれている。2人を収容する療養棟各室は、部分間仕切りによってある程度のプライバシーを確保するとともに、介護者の目も届くような工夫がなされている。この施設の特長は、広い敷地(19,537u)にゆとりをもって建てられ、各療養室がすべて外部の自然に接しているため、利用者がゆったりとした気分で過ごせる点にある。この他、中庭に面した訓練室には簡易のステージを設けてミニコンサートなども開けるようになっており、地域の人々と連携することで、老人たちの心のケアにも配慮がされている。
|